不動産競売
不動産競売について
不動産の競売とは民事執行手続きの一部であり、債権回収のために債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所がその不動産を競売にかけて売却する手続きです。不動産競売は価格を確定せずに不動産を売り出し、購入希望者がそれぞれ希望価格を申し出る方法です。不動産の購入者が住宅ローンの返済ができなくなった場合、金融機関は抵当権をもとに裁判所に競売を申し立てることがあります。競売は裁判所が全ての手続きを行うため債権者にとっては資金を回収できるメリットがあり、また競売により不動産を購入する場合は通常の市場価格よりも安価で購入できる可能性がありますが、物件の状態や権利関係が複雑である等リスクもあり、メリットとリスクが存在するため参加する際には十分な知識と注意が必要です。競売物件の購入を検討する際には、法的な手続きやリスク管理について必要に応じて専門家のアドバイスを求めることをお勧めいたします。
●なぜ不動産競売という手続きが存在するのか?
不動産競売という手続きが存在する根底には「自力救済の禁止」があるからです。「自力救済の禁止」とは権利者が法律上の手続きを経ずに、相手方の任意の意思に反して、実力でその権利の内容を実現してはならないという原則を指します。例えばA(債務者)がB(債権者)から1,000万円の借入れをした場合、AがBから借入れた1,000万円を返さないからと、BがAの財産を実力行使にて処分し金銭に変え、貸したお金を実力行使にて回収することは、自力救済にあたり禁止されています。日本の法律ではこのような方法を許していません。自力救済を許してしまうと社会秩序を乱すおそれがあるからです。このような場合、裁判所という公的機関に対してBの債権である1,000万円を回収してもらうことを請求します。その際に民事執行法という法律に規定された不動産競売手続きが利用されることになります。A(債務者)に不動産の財産がある場合は差押えがされ不動産競売の手続きを行うこととなり、A(債務者)の不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権の実行により不動産競売の手続きを行います。そして債権者は不動産競売の代価から債権の回収を図ります。